2017年9月15日金曜日

How do we learn languages?



(*Japanese Essay)

言語によるコミュニケーションは、地球上の生き物の中で、人間のみが持ちうる最大の特徴である。アメリカの言語学者ノーム・チョムスキーによれば、人間は、生まれたときにはすでに、言語を持つために必要なあらゆる能力を、誰に教わるわけでもなく、兼ね備えているとされる。(Universal language) その一方、年を重ねるごとに、言語を新たに習得することは次第に困難となり、母国語のみしか理解することができない人も多くいる。それゆえ、容易に言語を覚えることのできる幼児期を過ぎた後は、膨大な時間と労力を、言語の会得には費やさねばならなくなる。

         人間における言語発達は、まず、音声を発することから始まる。生後04週間の乳児の場合は、産声や叫喚などであるが、これが生後810ヶ月になると、「ジャーゴン」と呼ばれる本人のみ理解できる言語を発するようになる。そして、生後1013ヶ月には、特定の単語を単発で話すことにより、自らの意思を示すことが可能になる。これらの言語習得の過程において、子供たちが聞く言葉の量と質、および周辺の環境から与えられる一貫した教育が、子供の言語行動を大きく左右することが知られている。 幼少期において、言語と常に触れ合いを持つことは、言語を獲得することにおいて、非常に重要なことである。また、言語のみならず、子供たちの周りにいる大人たち、(特に両親)による、幼児への表情(フェイシャルエクスプレッション)やフィジカルコンタクトも、人間の言語成長に大きな役割を果たすことが指摘されている。ある研究では、これらの時期に、適切なコミュニケーションを得ることが出来なかった子供たちは、言語の習得に著しい障害をきたすと報告されている。

     言語習得能力同様に、幼少期における人間の認知機能の発達についても、これまで多くの学者により調査がおこなわれ、数多くの有力な学説が唱えられてきた。それらのなかでも、スイスの言語学者であり、心理学者でもあったジャン・ピアジェによって提唱された発生的認識論(Genetic epistemology)は、「人間の知識は全て構成されるもの」という構成主義(Constructivism)を、その論拠の礎にそなえ、発達は固体と環境の相互作用によるものであると論じた。この説では、幼少期の発達段階が四段階にわけて説明されている。第一段階(Period 1)は、誕生してから二歳になるまでの期間を示し、「感覚運動期」と呼ばれる。この時期の幼児は、まだ物を正しく認識する能力に欠いており、物体の普遍性を理解するに至らない。ゆえに、物体がベールなどで覆われてしまうと、それが実際に消えてしまったかのような反応を見せる。第二段階(Period 2)は、二歳から七歳までの期間を示し、「前操作期」と呼ばれる。この期間では、幼児は言葉を覚え始めると共に、「ごっこ遊び」のような記号的機能を持つようになる。他者の視点に立った物事の見方も出来るようになる。第三段階(Period 3)は、「具体的操作期」とされ、前期と比べて、より正確な物事の把握が可能となり、数や量を概念としてとらえることができ、合理的な判断ができるようになる。「形式的操作期」と呼ばれる、第四段階(Period 4)では、形式的・象徴的操作が可能になり、仮説的思考ができるようになる。このような段階を経て、人間は世界を少しずつ理解していく。
     もしも、私たちが、常に、生まれたばかりの赤ん坊のような、言語習得力を保ち続けることができるのならば、言語の持つべき意味合いは、現在と比べ、大きく変わるだろう。人間がいかなる言語も覚えられる期間が、生まれてからのわずかな期間しか許されていないということからみて、私たちの言語習得能力は、多くの言語を扱うことよりも、一つの言語(特に母国語)を短期間に覚えようとすることに特化しているようにも思える。旧約聖書の逸話によれば、「バベルの塔」が建てられたころ、人間は皆同じ一つの言語を使っていたとされるが、これらの複雑な人間の言語習得の過程は、それらバベル期の名残を表しているようにも感じられるほど、不可思議なものである。


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